災害現場や遭難者捜索に近年ドローンが使われていることは、TV報道等でも取り上げられるようになってきているため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

現在は、従来よりある捜索方法を補助するようなかたちで使われていますが、今後はさらにドローンの能力を活かした遭難者の捜索・救助サポート・災害支援等ができるのではないかと考えています。

弊社でもこれら現場でドローンが役立てるように日々経験を積み、研究を重ね、操縦スキル向上を行っております。

遭難捜索の難しさ

森林の中に迷い込む

山や海等で起こりうる遭難事故。場合によっては命の危険を伴います。遭難した場合はいち早く捜索、救助を行うことが望ましいのですが、それも簡単ではありません。

捜索範囲の広さ

遭難しやすい場所はいずれも大自然のため、探す場所が広範囲になります。

当初は一般的な場所にいたとしても山であれば滑落、転倒やケガ、道迷い等、海であれば流されるなどして遠くに移動している可能性が高くなります。

遭難直前にいた位置、それから捜索を開始するまでの時間が捜索範囲を決めるポイントとなりますが、位置がわからず捜索が遅くなればなるほど探す範囲が広まり、捜索が難航します。

探しづらい天候・状況

遭難の多くの原因に気象遭難(天候判断の遅れやミスなど)があります。さらに密林、冬山(雪山)、雪崩、噴火、土砂崩れ、風・雨等の悪条件が重なることで捜索自体が難しくなることがあります。

一時的な天候の荒れであれば回復次第捜索開始となりますが、その間に遭難者の体力が落ちてしまうことも。また地形を変えるほどの天災に巻き込まれてしまっている可能性もあります。

よって悪天候が予想されるときは遭難しやすい場所へ行くこと自体を避けるのが賢明です。

単独行動と高齢化

山岳遭難の約7割が登山中に起きており、団体行動中の遭難の割合が7%程度なのに対し、単独行動中の場合は20%程と非常に高くなります。

団体行動での遭難率
単独行動での遭難率

また登山者の多くが高齢化してきたことで、体力等の問題で遭難しやすくなっています。

参考:警視庁webサイト > 平成29年における山岳遭難の概況

捜索期限・費用

初期の捜索では大人数による人力になります。

捜索は基本的に自治体による税金で行われますが、2017年から埼玉県で自己負担を求める条例が可決されたことで、地域による負担に差が出たことから、山岳保険により一部諸費用の補償が可能となっています。

民間団体に依頼する場合はさらに高額となり、ヘリの場合は1時間の捜索で50万円ほどといわれています。

ドローン使用の場合は比較的安価になりますが、それ以外にも人数×日当、経費、交通費等がかかり、日数にもよりますが最低でも数十万円以上となります。

現在の一般的な捜索・救助方法

遭難救助に出動したヘリ
山岳遭難の場合
捜索初期段階から警察(山岳警備隊)、消防(山岳救助隊)、山岳会、自衛隊などにより多くの人数で一斉に探す、ヘリで空から探す等の方法がとられます。
人命に関わることでは時間が大事です。短時間で効率よく探すためにも、一気に捜索する必要があるためです。
海洋遭難の場合
船を使って海から、ヘリを使って空から探すのが一般的です。山岳と違い人力の捜索ができず、携われる人数に限りがあるため、捜索費用はほぼ保険で補償されます。

今後の遭難救助におけるドローンの可能性

高画質のカメラ搭載ドローン

遭難超初期での捜索・物資輸送

今も捜索初期段階でドローンが少しずつ使われていますが、今後はもっと早い段階(遭難が疑われる捜索前段階)での導入が増える可能性が高いでしょう。

カメラのズーム倍率を上げることでスマホサイズ位のものまで拡大して見つけることができます。人やヘリよりもいち早く遭難者を見つけ出し、現場に急行することもできます。

上空から広い範囲を見ることで、遭難者からのサイン(手を振る、ライトを照らすなど)も見つけやすくなります。

ドローンでの物資輸送について
物資輸送は過去のドローンコンテストで各チームによるさまざまな方法がとられましたが、安全性や確実性が回を重ねるごと高くなってきています。弊社も複数回の達成実績があります。

夜間の捜索・物資輸送

現在の捜索活動は基本的に夜間は危険を伴い行われないため、遭難の通報のタイミングによっては連絡を受けてからしばらくの間、遭難者は待機していなければいけません。その場で一夜を過ごすことも多々あるでしょう。

ドローンの場合は赤外線カメラを搭載することで温度感知が可能となり、夜間でも初期段階なら体温を察知して発見が可能です。

現在はルールの問題上いつでも夜間飛行ができるわけではありませんが、これが改正されることで夜間の遭難超初期段階での捜索・発見・救援物資等の輸送も可能となります。

人が行きづらい場所への捜索

ドローンだからこそ行ける、人が入りづらい場所への捜索を行います。人力と並行して捜索することで、捜索範囲を狭めていきます。

今後は民間ドローン団体と自治体が協力することで、いち早く遭難者の救助ができることが望ましいと考えます。

地形データを作りながらの捜索

ドローンには測量や3次元データを作る機能もつけられるため、まず捜索範囲全体のマップを作るように飛ばすことで、捜索エリアを絞ったり、見落としがないように管理したりすることができます。

ただし時間がかかる作業のため、遭難後、一定期間を過ぎて行うのが一般的です。

一度作ったデータがあれば、天候や季節にあわせ捜索しやすい時期にあらためて飛ばすこともできます。

地形データを収集する

実はこの方法もすでに幾つかの捜索で導入されています。2017年の山岳捜索では、1年以上前の遭難者を発見できたケースがあります。

この時は捜索5日前に山中を流れる川で発見された遺留品が手がかりとなり、川につながる沢をドローンで重点的に調べ、捜索ルートが絞り込めたところで捜査チームが人力で調べていきました。それぞれが得意分野を活かし協力・連携しています。

携帯・GPS端末と連携した捜索

携帯から発せられる電波やGPS端末の所持により、遭難者がいる場所が特定できます。ドローンならその座標の場所まですぐに飛んでいけるため、最速での現地到達が可能です。

ただしこれら機器にはバッテリー残量の問題もあるので、遭難の早い段階でしか行うことができません。

身軽さと安価な捜索費用

上空から見られる点ではヘリと同じですが、ヘリよりも安価で安全に探せます。小型なので身軽に動けるのもメリットです。

迅速さを求められる初動はもちろん、捜索活動全体において、大きな役割を担えるだけの能力があります。

災害支援活動に向けたドローンの課題

天候・気候に合わせたドローン

土砂降り

実際の現場は大自然が多く、天候・気温等も過酷な状況が想定されます。

捜索活動・物資輸送に適した装備は後付けがほとんどですが、過酷な現場に耐えうるタフなドローンが求められるでしょう。

例えば今のドローンでは、風や雨は落下等の危険性が高いのでできるだけ避けます。

ただし遭難救助ではそういったときこそ早い救出が求められますから、人やヘリが救助に向かえないような状況でもできるだけ先行して捜索等ができるようなドローンが求められます。

安全性を一番に考えつつ、防水・防寒にも適した標準装備が必要となりそうです。

操作性の安定と高い技術者

ドローンの操縦

立地的に電波の状態が悪くなりがちで、より安全に探すため、二次被害を出さないためにも操作性の安定が求められます。

さらにこういった場所では天候や電波、地形等の問題でドローン操縦者の高い技術力が必要とされます。こういった人材は今のところ、一部民間の操縦者だけに限られるのが現状です。

今後は自治体などと協力し、高い操縦スキルを持つ人材の育成が必要ではないかと考えます。

遭難者を減らすために

山・海へ行く事前の準備

    • 天候のチェック。悪ければ行かない判断を。
    • 体調は万全に。
    • ルートの確認。登山であれば登山計画書も持参。家族や身近な人に行くことを必ず伝えておく。
    • 応急処置、天気図の読み方等の基礎知識を付けておく。
    • 装備品の用意。(携帯電話・スマホ、笛、ライト、水・食料、防寒用品、雨具等)
    • 連絡先の確認。

遭難時の心得

  • 遭難信号を送る
  • まずは電話連絡、笛を鳴らす、夜間のライト点滅などアクションを起こしましょう。

  • 動かずに電波の届くところで待機
  • 電話連絡ができた後は動くと探しづらくなるという点や、バッテリーの消耗を最低限にするためです。

  • 寒さ暑さ・風・雨等から身を守る
  • 小屋やテント、穴を掘って避難しましょう。また、海であれば低体温症を避けるためにボートやペットボトルなどの漂流物を使い、できるだけ身体が海につからないように(浮いているように)してください。

  • 水と食糧を確保する
  • 基本的には保存食など持ってきたものを使用し、自然界のものは確実にわかるもの以外は口にしないようにしましょう。(キノコ当危険なものもあるため)

捜索・救援サポートの実績(コンテスト実績等)

遭難者捜索を想定したドローンコンテストが行われることで、本格的に災害支援・遭難者捜索・救助に使われるきっかけにつながります。そのため弊社でも積極的に参加し、経験、実績をつんでおります。

捜索・救助を想定した参加イベント(2018年11月現在)

北海道上士幌町の山を舞台に、山岳救助を想定したロボットコンテストです。弊社ではドローンを使っての捜索活動、救援物資輸送などを行いました。2018年度は夜間開催となり、温度差を感知するサーモカメラにて捜索を行いました。

2018年から開催された、国内初となる海難救助を想定したドローンコンテストです。ドローンを使い、海上の捜索活動・救命道具投下などを行いました。

弊社ではこれら経験を活かした、実際の捜索の実績もございます。ドローンを使った災害支援・遭難救助等に関しまして気になることがあれば、ぜひご相談ください。