福島にはドローンをはじめとしたロボットの研究・開発拠点となる大規模施設「福島ロボットテストフィールド」が2018年度より順次開所されています。

今回はその施設に伺うことができましたので、紹介と訪れた感想をレポートいたします。

福島ロボットテストフィールドとは?

福島ロボットテストフィールド

福島ロボットテストフィールドは、福島イノベーション・コースト構想に基づいて整備された、大規模なロボット研究開発拠点です。

現在は大半が工事中ですが、2018年度より少しずつ施設が完成し、開所されていく予定です。

この施設で研究・開発の対象となるのは、物流やインフラ点検、大規模災害等で活躍が見込まれる陸・海・空のロボット「ドローン(無人航空機)」「災害対応ロボット」「水中探査ロボット」等。

実際の現場さながらの環境を拠点内に再現することで、実証実験をしつつ研究開発、操作訓練、性能評価を行うことができます。また、こういった施設は世界的にも類を見ないものになっています。

施設の重要性と期待度

ドローンをはじめとしたロボットがインフラや災害時等の最前線で活躍するためには、開発のための拠点が欠かせません。

しかし実際にはなかなかないのが現状で、小規模の自社敷地を利用したり、実際の現場を使ったり、従来よりある別の大型施設を利用したりして開発や研究を行っている企業や団体がほとんどです。

さらにある程度の設備を導入するにはそれなりの広さと資金が必要となるため、ほとんどが都心から離れたアクセスしづらい場所にあります。

福島ロボットテストフィールド

福島ロボットテストフィールドのような大規模な専用研究拠点があれば、従来の場所に比べ施設や設備の充実が期待できます。他の研究・開発目的で訪れている人たちとの、意見交換の場としても使えることでしょう。規模の大きさから一定期間、このエリアを拠点とする研究者や開発者も増えるでしょうから、地域活性化にもつながります。

現在はできあがっている施設はわずかですが、本格的な利用が可能になることによって、日本のロボット業界の活性化が一段と進むのではないかと期待されます。

施設基本情報

名称福島ロボットテストフィールド(国際産学官共同利用施設)
ホームページhttps://www.pref.fukushima.lg.jp/site/robot/
アクセス常磐自動車道、南相馬IC・浪江IC
東京から車で約3時間
仙台から車で約1時間
場所福島県浜通り地域(復興工業団地内)が、国際研究産業都市(ロボット開発・実証)拠点です
福島ロボットテストフィールド→ 福島県南相馬市原町区萱浜赤沼61
浪江長滑走路→福島県双葉郡浪江町棚塩
敷地規模南相馬市・復興工業団地内に東西約1,000m、南北約500m

各エリアと施設概要

ロボットテストフィールド福島
※2018年度以降順次開所予定のため、施設情報は公式サイトを参考にしています。

無人航空機エリア

航空機関係の施設がいつか予定されていますが、個別になら備えている場所は複数あるかと思います。ここは研究や開発専用の施設になるので、一般利用者等を気にせずに思う存分試験や訓練ができるのが強みではないでしょうか。

滑走路・滑走路付属格納庫無人航空機の飛行試験、操縦訓練用施設です。衝突回避や不時着、落下などの特殊飛行が可能です。格納庫内には整備室・管制室・アンテナ設置台を整備。同施設は南相馬市と浪江町の2カ所に設置予定です。
広域飛行区域・通信塔南相馬市と浪江町間約13km区域内で、個別相談によって飛行コースを設定した上で飛行が可能です。付属の通信塔で低空の風速風向、有人機や鳥などを観測して安全を確保します。
緩衝ネット付飛行場周囲をネットで覆った航空法適用外の飛行場です。屋外環境下同様の状態で夜間飛行・物件落下等の試験を法律上の事前申請なしに実施できます。床はマット敷きで落下衝撃を抑えます。有効高さは15mです。
ヘリポートシングルロータ・VTOL型の無人航空機試験と訓練のほか、有人ヘリの訓練の離発着ができます。
連続稼働耐久試験棟コンクリートで覆われており、安全に長時間耐久試験ができます。
風洞棟空力特性、風への耐性試験ができます。最大風速は20m/s。

インフラ点検・災害対応エリア

近年インフラや災害現場でドローンやロボットが少しずつ利用されてきていますが、まだ試験的な活用がほとんどです。本格的な導入を目指すためにも、こういった施設は貴重になることでしょう。

試験用橋梁老朽化、障害物を再現した試験・訓練ができます。コンクリートのひび割れや剥離、ボルトのゆるみや亀裂などの機能障害も再現していて、テストピースとしていくつかは入れ替え可能です。障害となる照明柱、防護柵等の設置もできます。長さは50m、幅は10m、高さは5mです。
試験用トンネル交通事故や老朽化、崩落を再現した施設で、捜索や状況確認、老朽化点検等の試験・訓練ができます。高速道路、一般道の照明、ジェットファンなどを設置し、点検対象となる壁面のひび割れ等を再現。車両やがれきなどを内部に配置したり、両側シャッターを閉鎖したりすることもできます。長さ60m、幅6mです。
試験用プラント点検や情報収集、機器操作のための試験・訓練ができます。さまざまな配管やバルブ、ダクト、階段、垂直ばしご、煙突等を設置。計器や指示器の変動や煙の充満、瓦礫の設置などの「異常空間」の再現もできます。6階建て。
市街地フィールド住宅やビル、信号、交差点を配置した施設で、瓦礫や車両などを設置して情報収集、調査、救助、点検、捜索等の試験や訓練ができます。自動走行の走行試験も可能です。
瓦礫・土砂崩落フィールド道路遮断現場、土砂崩れ現場を再現した施設で、無人化施工重機やロボットによる捜索・救助・復旧作業等の訓練・試験が行えます。一部は軟弱さを調整可能な地盤となっています

水中・水上ロボットエリア

空・陸に比べるとやや遅れがちな水分野ですが、需要は高いかと思います。弊社も水中ドローンを扱っているので、こういった施設ができれば非常にうれしいです。

水没市街地フィールド冠水した市街地を再現し、情報収集・捜索・救助訓練が可能です。障害物を沈める試験、有人ヘリの訓練にも使えます。
屋内水槽試験棟ダムや河川、港湾を再現して水中・水上ロボットの試験、訓練ができます。大水槽(水深7m)では点検対象物を設置しての水流発生や音響ソナー、暗所再現による水中測位ができます。小水槽(水深1.7m)では濁度調整による観測機器の試験が可能です。

開発基盤エリア

ロボット研究のすべてが集まる場所になるのではないでしょうか。本格始動されることで、一気にロボット分野が発展する可能性もあります。世界的にも例がない施設なだけに日本だけならず、国外からの研究者も多く訪れることでしょう。

福島ロボットテストフィールド研究棟全施設の本館で、各試験のための準備や加工、計測ができます。ロボット性能評価のための風や雨、防塵、温湿度、電波等の試験もできます。研究者向けの活動拠点や事務所の開設、会議や展示会開催もできます。駐車場は165台分あります。

※その他浪江町・棚塩産業団地内に長距離飛行試験用滑走路の計画があります。

現時点でできる実証試験・訓練

福島ロボットテストフィールド

ロボットテストフィールドの完成はまだ先ですが、現在でも「福島浜通りロボット実証区域」ではロボットやドローンに関連する企業や大学などを対象に福島県が仲介して、県内にある指定エリアを試験や訓練の場として利用できます。

2015年から活用実績があり、過去には世界初の市街地上空での複数ドローン運行管理や、完全自律飛行ドローンによる長距離輸送の実施などが行われています。

指定エリアは以下ですが、それ以外の場所も応相談となっています。

相馬市相馬市一般廃棄物埋立処分場
相馬市産業廃棄物埋立処分場
南相馬市横川ダム
南相馬下太田工業団地
高の倉ダム
南相馬市馬事公苑
南相馬市復興工業団地
楢葉町仮橋
楢葉まなび館

施設訪問のきっかけ

福島ロボットテストフィールド

今回は福島ロボットテストフィールド運営団体の担当者様と、施設の有効活用について意見交換をするために伺いました。

施設自体は情報を得て知っていたものの、まだまだ広い工業地帯です。現在できることは少ないですが、それは活用方法が無限にあるということでもありますので、今後の期待も高まります。われわれのいる仙台からはもちろん、東京方面からのアクセスにも優れています。

今は各施設の完成と、公式サイトでの情報公開を待ちたいところです。