ドローンはここ数年で徐々に認知度があがり、その市場規模も急速に広がりをみせています。

世界的にも普及率が高いドローンですが、反面どのような分野で活用されているかを知らないのが現状ではないでしょうか?

ここでは日本国内におけるドローンを使った調査や空撮の実例をご紹介します。

公共土木施設の維持管理

知県では、公共土木施設の維持管理などを目的としてドローンが活躍しています。県道や漁港海岸沿いなどの安全対策工事に活用。また砂防堰堤を上空から撮影して、現地を立体的に把握することなどにも使っているといいます。

砂防堰堤(さぼうえんてい):大雨など、土石流などの災害を防ぐために作られた堤防のこと。
伊崎絢
平成27年に行われた成川川砂防堰堤や程野川砂防堰堤へのドローンを使った取り組みは、インフラメンテナンス大賞の「グッド・プラクティス賞」を受賞しました。
八木まさる
凄いですね!どういう内容だったんですか?
伊崎絢
現地を鳥瞰的に撮影するとともに時間短縮や労力軽減したなど、効率的に現地調査を行ったんです。
八木まさる
そういう実績が認められるって、仕事としても遣り甲斐がありますね!
伊崎絢
そうですね。ドローンがあらゆる土木施設のメンテナンスで活躍できることを、インフラメンテナンス大賞受賞ということで立証されたことになりましたし。
八木まさる
土木現場というと危険なイメージがあるけれど、ドローンの活用で面白味もでそうですね!
伊崎絢
ドローンを利用することで、従来では危険を伴っていた調査作業も大幅に軽減されるのは、労働者にとっても良いことですね。
 
インフラメンテナンスとは?
日本国内における社会資本のメンテナンスという。

インフラの老朽化対策として行われるインフラメンテナンス大賞は、国土交通省とともに、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、防衛省など、各省合同で開催。インフラメンテナンスに係る取り組みや技術開発を表彰することにより、国内のメンテナンス産業の活性化そして普及、今後の展開を図ることを目的としている。
参考:国土交通省 > インフラメンテナンス情報 参考:国土交通省 > インフラメンテナンス情報参考:インフラメンテナンス国民会議 参考:インフラメンテナンス国民会議

写真測量

ドローン(マルチコプター)を使った写真測量は、測量時間や費用の大幅削減が可能となります。

地形的に人間が立ち入るのが困難なエリアなどは、膨大な時間と労力が必要です。ですがドローンを使った空撮により、地上測量でのデメリットの部分が飛躍的に改善されるのです。

測量への参入においても、ドローンが主力となる可能性が期待されています。

写真測量で必要な機材とは

公共測量において UAV を使用する測量作業機関は、航空法その他の
UAV の運航に関わる法律、条例、規制などについても、それらの理念を十分に理解し、遵守し、UAV を安全に運航するよう努めることが必要です。公共測量における UAV の使用に関する安全基準(案)

上記にもあるように、ドローンを使うためには、利用者は十分な知識とルールに基づいて運用しなければいけません。

ドローン本体

メイン機材であるドローンには、性能や概観など基準を満たすことを明らかにした上で、飛行許可の申請を行う必要があります。その基準を満たすものとしてDJI社のPhantomシリーズや、測量専門の機体としてのPF1-Surveyなどが挙げられます。

現在、ドローンの飛行許可はオンライン申請が可能となりました。従来の書面で行うよりも手軽に行うことができます。

デジタルカメラ

ドローンでの写真測量に使われるカメラも基準を満たすものでなければいけません。

  • 計測性能:地上画素寸法が10㎜/画素以内(出来形計測の場合)
  • 測定精度:±5㎝以内(精度確認試験を行うこと)
  • 撮影方法:インターバル撮影、または遠隔でのシャッター操作

これらの条件を満たす仕様、またはそれ以上の性能があるものを機体と同じく明らかにする必要があります。

ドローンには、既にカメラが備え付けられている機体もありますが、基準を満たすものなら使用可能です。
伊崎絢
中には備え付けのカメラが基準を満たしていない上に、変更できないものもあるので購入時にはご注意くださいね。
八木まさる
どうしてですか?
伊崎絢
測定精度において、カメラの解像度が悪いと低い高度でしか飛行できないんです。ですので高低差の地域や障害物がある現場では、自動航行の場合などコース設定に気をつけることも覚えておきましょう。
参考:国土交通省 > 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案) 参考:国土交通省 > 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)

ソフトウェア

ドローンで撮影した映像を画像解析し、3次元データを作成するには、下記のソフトウェアが必須条件となるでしょう。

  • 3Dデータを作成するための写真測量ソフトウェア
  • データから不要な構造物などを削除するなどの編集を行う点群処理ソフトウェア

他にも、出来形測量では3次元設計データ作成ソフトウェアや出来形帳票作成ソフトウェアなども必要となります。単体で販売しているものもあれば、ドローンとともにパッケージで販売している企業もあります。

トータルステーション(TS)

空撮測量で飛行ルートを決めるにあたり、対空標識の設置が必要です。その際にトータルステーションという、距離や角度を測る測量機器を使用します。

点検~建設現場で活躍!ドローンによる全景撮影

災害地域

建設会社では近年多くのドローン、マルチコプターが使われています。

伊崎絢
進捗(しんちょく)状況を把握するための上空からの全景写真、見えづらい角度からの撮影を得意とし、クライアントとの打ち合わせをスムーズにするなどの活躍をみせているんですよ。
八木まさる
へぇ~。これは口下手な私には大助かりです!

点検作業実用例1「工事現場」

地形的に人間が立ち入るのには危険な場所(急勾配の場所、坂、山岳地帯、災害地域など)の撮影に適しています。

現場への着工が予定通りできるのか?変更が必要か?工事における確認を、ドローンでの撮影結果で検討できます。通常の工事現場であれば進捗(しんちょく)状況を定期的に撮影したデータを記録しておくことができます。

また屋内では、大型施設など高い個所の破損や損傷などを定期検査することにも使われています。

これまでの空撮方法では困難を極めていた現場も、ドローンやマルチコプターによって、危険を回避しながら効率的に撮影が可能。多くの資料を残すことができるようになりました。

点検作業実用例2「橋・鉄塔」

大規模な施設ほど、人間が直接チェックできる範囲には限界があります。ヘリや船、双眼鏡などを用いたとしても、大がかりな作業のわりに細かなところまでは目が行き届きません。

しかしドローンやマルチコプターなら、入り組んだ部分や細かな部分も精密に確認することが可能となりました。遠隔操作で安全に飛行させ、確認したいところもズーム機能などを用いて念入りに撮影して記録できます。

点検作業実用例3「太陽光パネル」

太陽光パネルの定期メンテナンス時では、赤外線装置をドローンに取り付け発熱状況を調べます。

周囲と発熱具合が違う個所、パネルの破損や不具合など、何らかの異常が出ていることを早い段階で気づけ、早急に修復できるようになりました。

長い時間と労力を必要としていた作業が、ドローンを使うことにより時間短縮そして安全に。大規模な太陽光発電施設ほど、画期的な作業効率アップが期待できます。

ドローンを使ったALSOKの点検サービス
メガソーラー向け点検サービスは、は2014年10月から空撮分野以外で国内で初めて、総合警備保障で知られるALSOKが取り入れています。今後風力発電所や大型施設の点検、さらには警備面での活躍も期待されます。

農業用ドローンで仕事の効率化が飛躍的にアップ

ドローンによる作業は、通常人間の手によって行われる広範囲の作業を効率化させるのに向いています。中でも農業分野では大幅なコストダウンにつながるとして、急速に普及しています。

農業実用例1「農薬散布用ドローン」

農薬散布といえば農業用ヘリが一般的でした。しかし高額で操縦技術が必要となり、大規模な農家以外では実用が難しいという難点がありました。

ですがドローンによる農薬散布が可能になったことで、人件費はもちろんのこと、機材の初期費用、農薬使用量、散布にかかる時間などがいずれも最小限に抑えることが可能となったのです。

伊崎絢
ドローンの自動運転を行えば高度な操縦技術を必要とせず、自分が農薬に触れる危険回避にもつながります。さらに騒音被害もほとんどありません。
八木まさる
今後は精密農業として他の農機具同様に欠かせない1台となっていくってことになりそうですね。
伊崎絢
そうですね。現在は農薬散布目的が主ですが、害獣対策や生育調査などにも活躍が期待されているんです。

農業実用例2「クラウドを使った農業データ解析」

フランスは、商用(農業活用)で最もドローンが使われている国と言われています。

八木まさる
フランスでドローンを使っている会社があるんですか?
伊崎絢
ありますよ。農業系ドローンを扱う企業の Airinov(エリノヴ)社では、農家がドローン飛行で収集した情報を送ることで、散布した肥料や農薬のデータを送ってくれるというサービスを行っているんです。
 
ドローン企業と農家が連携した情報サービスは、大規模な農地の多い国ならではといえますが、日本でもさまざまな事業のドローン利用情報がクラウドを使って共有されることで、多くの分野で作業の効率化が期待できます。

人間の代わりに、ドローンで調査・探索!

伊崎絢
産業用ドローンは、多くの調査作業で活躍しているんですよ。
八木まさる
そうなんですか?具体的にはどんなことを?
伊崎絢
自然保護や調査、地質調査、火口調査など、これまで航空機によって行われていたことをドローンでできるようになったんです。
八木まさる
なるほど!ドローンなら危険地域だと尚のこと活躍しそうですね!
 
ドローンやマルチコプターにより可能となったことで、調査後後の作業も迅速にすすめられるようになりました。

特に危険地帯は人間が入りづらい部分も多いため、ドローンやマルチコプターの活躍が欠かせません。

調査実用例1「遺跡・文化遺産調査」

今にも崩れそうな歴史ある建造物は、立ち入り制限が設けられている場合が多く、なかなか調査が進まないことも。

しかしドローンやマルチコプターを使えば、今までは確認できなかった細部まで確認することができ、その後の調査や修復作業につなげることができます。

2015年に世界文化遺産として登録された長崎県の端島(軍艦島)の調査でも大きな活躍を見せており、ドローンやマルチコプターによって撮影された静止画や動画をネット上で多数見ることができます。

調査実用例2「学術調査・研究」

ドローンは民間だけでなく、自治体や大学の調査や研究にも多く利用されています。山岳地帯、森林地帯、火山地帯など、自然を対象にした、今まで全く調査できなかったエリアも、これを機に研究が進むようになりました。

ドローンの能力が命を救う~捜査&救助活動

伊崎絢
災害現場での調査や捜索、救助は一刻を争う作業です。
八木まさる
でも現場がどのようになっているかわからない状態ともなれば、救出に向かうのも困難ですよね?
伊崎絢
そうですね。このような迅速な対応が求められる状況では、ドローンやマルチコプターの活躍が救助活動の円滑化につながるのです。

ドローン捜索・救助実用例1「災害現場」

静岡県焼津市災害対策本部では、2015年12月から「Phantom 3 Professional」を導入しています。

自然災害などの車両や人員到達が難しい現場において、いち早くドローンを飛行させて状況把握や捜索活動、職員の安全確保を行います。災害現場でのドローンやマルチコプターの利用は、今後急速に拡大が見込まれます。

ローン捜索・救助実用例2「物資輸送」

ソニーモバイルとZMPが設立した エアロセンス は2016年春より、ドローンを使った災害救助事業を開始する予定です。

ドローンを使い、医薬品や通信機器を災害で分断された地域へ届けることを目的。航空機のような、人間そのものを救出する大がかりな作業はできませんが、今後ドローンやマルチコプターの性能が向上することで、救助の幅がどんどんと広がることでしょう。

野生鳥獣の生息調査

今までの生育状況調査では、目視による確認、ふんや足跡、捕獲数などによる推計しかできませんでしたが、ドローンによる調査に合わせ個体数を計測するシステムを開発。

動物の体温と地表の温度差を利用して草陰などにいる個体数も確認できるように、赤外線サーモグラフィーカメラで調査を行います。

野鳥の個体数調査

湖沼ではガンカモ類の個体数調査にドローンの活躍が期待されています。ただし撮影条件やドローンの性能向上が期待できなければ現状の目視調査の精度を上回ることはできません。

2016年3~4月に小さな沼(北海道三角沼)で行われたオオハクチョウとマガンを数える実験結果では、高度50メートルで沼全体を網羅するように自動飛行し、撮影した写真を合成しています。

写真上では野鳥は点のように小さく映りますが、色の違いでどちらの鳥かを判断することができます。

伊崎絢
同時期に日本最大のマガンのねぐら(秋田県八郎潟)でも調査が行われましたが、こちらは推定20万羽以上なんです。
八木まさる
確かこの近くって、目視調査しやすい場所がなく、個体数調査が難しい場所と言われていますよね?
伊崎絢
そうなんです。だからこそドローンによる調査に期待がかかりますね。

観客席よりも大迫力のドローンスポーツ映像

スノーボードやフリースタイルなど、競技範囲が広域で、かつスピードがある競技は写真や動画の撮影が困難です。

地上に撮影場所が設けられている場所があったとしてもそこから届く範囲は限られ、空撮用ヘリでは選手に騒音や風の影響を与えてしまう可能性が。

しかしドローンやマルチコプターによる撮影技術のおかげで、臨場感ある映像をいつでも記録として残せるようになったのです。

スポーツ実用例1「オリンピック競技」

世界中の人が注目するオリンピック競技では、ドローンやマルチコプターによる大迫力の撮影が、テレビをみる人をくぎつけにしています。

着陸、競技中の選手の追尾、着陸などがすべて自動で可能となり、ブレも最小限に抑えた映像はまさに必見!これらの撮影技術が、競技の幅を広げているともいえます。

しかし過去には、スポーツ競技中にドローンが落下し、選手に当たりそうになる事故も発生しています。活躍の場が広がる一方で、こういった状況が起こりうる可能性も常に視野に入れ、安全性を高めていく必要があります。

スポーツ実用例2「ドローンを使った新感覚スポーツ」

2016年早々、ドローンに引っ張ってもらい、平らな地でスノーボードを楽しむ子供の映像(ドローンボード)がYouTubeで話題となりました。また同じくYouTubeで、ホバーボードに人間が乗った状態が、まるでドローンに乗っているかのような動画も人気となっています。

今はドローンの性能に限界があるため、まだこれらが本格的なスポーツして認められるのは難しそうですが、今後ドローンの活躍の場が広がれば、スポーツに取り入れられる可能性は十分にあり得ます。

配送事業にも?!ドローン産業へ高まる期待

伊崎絢
米Amazonはドローンによる自動配送サービスPrime Airを使って、30分以内の配送をすることを目標としています。
伊崎絢
ドローンで配送ができるとなると、物流分野も大きく変わりますね!
伊崎絢
そうですね。ですがこれは、まだまだ構想段階なんですよ。
ローンによる自動配送は、実用化に向けた実験が行われている最中。技術的なことはもちろんのこと、規制の問題が大きく、ドローンが配送トラックの代わりになる時代は、かなり先の話になりそうです。

しかしGoogleも含め、大手企業がドローン配送サービスに期待を寄せているのは事実。世界規模の企業が本格的にこれら可能性を模索することが、実現に一歩近づいているともいえます。

今これらに手を出すにはまだ早そうですが、緊急時の物資輸送などは可能でしょうから今後に期待しましょう。