産業分野でのドローン市場は、5年後には1,000億円規模に、2024年には2,270億円規模になると言われています。

まだどの企業も本格的な実用には至っておらず、具体化させるのは難しい現状はありますが、広い産業分野で少しずつ確実に成長しています。

以下では最新の産業分野でのドローンの活躍をまとめました。

ドローン活用が実質義務化「測量」

測量

ドローンの性能は年々と技術開発が進むとともに著しく向上されています。近年はレーザーを搭載したドローンによる測量が主流だといわれています。

測量を行うとしても、建設現場では樹木に覆われているなど、裸地ではない場合が多々あります。山林の急な斜面による測量など、従来の方法では数日要することになります。このような現場では特にドローンによるレーザー測量が有効に働きます。

レーザーの光は植生の場であっても、木々や生い茂っている葉を通過して地表面を計測できます。地上に設置するタイプのレーザー測量もありますが、この方法ではレーザーを放射状にスキャンすることになり、スキャンの点群密度は近ければ高いといえますが、遠距離になればなるほどに不均一となるのが難点。航空でのレーザー測量はこれまでにもありましたが、ドローンを使うことによって、低い高度を保ちながら精密に測量を行えるのです。

ドローンによる測量は、写真撮影という方法もあります。ですが空中での写真測量にはサイドラップが必要です。そのため飛行時間や飛行範囲にも制限が高くなるといいますが、レーザー測量ならその必要がありません。そういった点から、必要なエリアのみでの飛行ができ、発射レート数の少ないスキャナーを使ったとしても高密度なデータ取得を可能とします。

サイドラップとは
空中撮影による平行するコース間の重なり度合いを指す。飛行コースのズレや、標高による重複度の低下から、一般的に30%の重複度を取ることが通常とされている。

建設業界への国策「i-Construction」

国土交通省では、測量・施工・検査など全プロセスにおいてICTを活用する i-Construction(アイ-コンストラクション)を推進しています。

測量ドローンなどを使ったレーザーによる3次元測量
施行位置情報を取得して自動コントロールできる建機
検査パソコンによるデータ処理

 
このように、全ての過程でICTを導入することによって作業の効率化を図り、建設現場での作業日数を大幅に削減できるのです。長時間労働を抑制するとともに休暇を増やすという、働き方への改革を国として目指しています。

建設業界においても高齢化の問題が上がっています。建設業では55歳の就業者が3割といわれています。近い将来、大量の離職者がでることも否めません。若者の入職や育成が今後の課題となっているのが現状です。

就業者への処遇改善、教育訓練の充実なども国の対策として挙げられますが、i-Construction の取組みも今後の建設業界の活性化につながる1つです。賃金や労働時間および休暇、職場環境の改善、雇用の安定性を図るとともに、i-Construction の推進で、建設現場の生産性を2025年までに約2割引き上げることを目指しています。

参考:国土交通省 > 建設産業の現状と課題

死角のチェックも万全に「インフラ点検」

少子高齢化が問題となっている現在、熟練就業者の離職や若年層の入職がないことからの人手不足など、建設業界では大きな課題が挙げられますが、建設物についても同様です。高度成長期に建てられた多くのコンクリート造の建造物。今まさにこれらの老朽化が問題となっています。

コンクリートの寿命は一般的に50年といわれ、今まさにそれらの保守点検、更新作業をするなどの対策が必要といわれています。

2m以上の橋が691,421ヶ所、トンネルは10,645ヶ所(平成28年4月1日現在)ありますが、橋梁においては、50年経過したものが2023年には43%にも及び、緊急性であることが浮上しています。

2012年に発生した中央自動車道の笹子トンネル天井板落下事故は、老朽化によるものが大きな原因とされています。それをきっかけとして日本各地の橋梁やトンネルの老朽化状況を調べたところ、膨大な数のインフラが浮き彫りとなり効率的な点検とメンテナンスが必要とされています。

このインフラ点検には、大まかにいうと目視点検と打音点検とがあります。従来の点検作業では、時間をかけて足場を組み、危険な状態でありながらも目視で点検をする。そして足場を撤去する作業。時間も手間もかかる上に危険性をはらんでいました。

それがドローンを使うことにより、目的地まで最短のルートで飛行し、時間をかけずに精密で細かなデータを確認することができます。

NEC、自律性業システム研究所、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、一般財団法人 首都高速道路技術センターの4社では、飛行ロボットによる打音検査システムの開発に取り組んでいます。

点検作業を打検をサポートするパーツとそこを目視確認できるカメラを搭載したドローンを使うことにより、高所などでのコンクリートの状況、ボルトの緩みやサビなどを安全かつ効率的に行うことが可能となります。

ドローンで撮影した点検箇所の画像データはもちろん保存することができ、長期にわたるメンテナンス作業の貴重な情報源として役立ちます。

ダムなどの構造物においては鳥瞰的な確認も可能。短時間で作業でき、コストも従来の3分の1ほどのダウン、そして安全かつ精密なデータ管理をサポートできるでしょう。

風力発電所、ビル、橋、トンネル、ソーラーパネルなど、人間が立ち入りづらい施設や構造物の点検作業に、ドローンが活用されることが期待されています。

危険地域で大活躍「災害、危険地域調査」

災害調査用ロボット(ドローン)は、東北大学国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)らが協力して開発を行っています。

2014年12月には鹿児島県桜島で飛行試験を行い、噴火状況、降灰情報を調査。今後は土砂の自動採取装置をつけて、土石流予測の情報収集に役立たせました。

地震、津波、火災、地盤崩落などの災害発生時などにもドローンの活躍が期待されます。

2016年の熊本での地震では、被害状況の把握などに利用されました。これらの経験から今後も積極的な利用を重ねていけば、災害時には欠かせないものになることでしょう。

番犬ならぬ番UAV!?セキュリティ会社のドローン活用

セキュリティー会社として知られているセコムALSOK

両社はどちらもドローンを使ったサービスをとりいれており、すでにサービスとして開始しています。

セコムでは、2012年に「セコムドローン」という小型飛行監視ロボットとして、世界初の民間防犯用ドローンサービスを発表し、2015年から本格的に提供をはじめました。

監視する敷地内を3次元マップとしてデータ化し、飛行エリアと障害物エリアを区別して自立飛行できる性能をもち合わせています。また不法侵入者を感知した場合、対象となる人物と一定の距離感を保ちながら、その特徴を捉えられる位置に移動する経路も計算して飛行する機能も搭載されています。

ドローンが撮影したそれらの情報は、セコムのコントロールセンターに送信。情報を基にいち早く警備員がかけつけるなどの緊急的な対策が可能です。

ALSOKでは、カスタマイズ性に優れたドローンを使い、太陽光パネルの点検に使われています。

  • 可視カメラと2台の赤外線カメラを搭載
  • バッテリーを2台搭載
  • GPSを搭載しての自立飛行

風速計も使いながら、安全な状況化で太陽光パネルへの点検をしています。可視カメラにより、パネルに付いた落ち葉などの落下物や汚れなどから発生する不具合に対応できるのです。

ドローンが農業の仕組みを変える「農業」

農業にドローンを活用

ドローンによる農薬散布は、人手で行う作業と比較すると、その時間は約16分の1に短縮できます。農多機能カメラを使った精密農業も期待され、現在さまざまなところで検証実験が行われています。

農林水産航空協会が発行した平成28年度農林水産航空事業の実施状況によると、3,045機の無人ヘリコプターが農業分野で活用されており、そのオペレーター(操縦士)は11,418人に達しています。

また日本国内の水稲作付面積の30%が無人ヘリコプターでの散布となっており、2003年には有人ヘリコプターでの防除面積を上回りました。その後も無人ヘリコプターによる防除面積は右肩上がりを続けています。

早い段階で無人ヘリコプターによる防除作業が行われてきましたが、それに代わるものとしてドローンによる農薬散布に注目が集まっています。無人ヘリコプターよりも安価であり、電子制御によって保たれる優れた安定性、2本のレバーを使うという簡単明瞭な操作方法で実用化が急激に進んでいるのです。

機体/性能ドローン無人ヘリコプター
飛行時間5~15分5時間程
積載量5~10ℓ10~30ℓ

 
無人ヘリコプターよりも飛行時間や積載量は少ないのですが、ペイロード(総重量)と比べると機体自体は軽く持ち回りは便利なのがドローンの特長。狭い圃場などに有効です。

バッテリーの性能など、これからの技術開発が進むにつれて軽量化かつペイロードの増大が期待されています。主に水稲で活用されているドローンですが、今後の開発によっては果実や野菜などのさらに広大な範囲をサポートできるようになるでしょう。

2020年には農業の大転換期になるともいわれており、その鍵となるのがドローンをはじめとするICTであることは間違いありません。

スマート農業の時代

作物の生育状況の調査、害虫や疫病による防除などにドローンの存在は大きく期待されています。適度な肥料散布や圃場状況を把握して収穫量や品質の向上を図ることをリモートセンシングといいますが、近年ではオートパイロットでの情報収集もそれに含まれています。

この情報収集の内容は多種多様です。用途に合わせて、どのようなデータを収集したいのか?それに合わせてどのような対策を取るのか?と、アプローチの方向性も変わります。

ドローンに搭載された性能高いセンサーやカメラにより収集されたデータ、そして集めたデータを分析する技術は確実に進化を遂げています。

農林水産分野における取り組みとして、人畜、農林水産物、周辺の環境などへの安全性を確保するためのガイドラインを定め、2018年からドローンを用いた農薬散布が実施。そして2019年には、肥料散布や播種への利用、運行アシストシステムの導入に向けて、技術開発、安全性の検証などを本格的に始動しました。

小型無人機に関する関係府省庁連絡会議、第6回小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(2017年5月19日実施)では、下記のような計画が立てられています。

  • リモートセンシングの活用による精密な肥料散布の開発
  • ドローンなどUAVを高度に活用した農薬散布の省力化
  • 空中散布における無人航空機利用技術指導指針

労農者の高齢化や後継者問題、またTPPからくる影響も度外視できません。そして度重なる災害(台風、土砂崩れ、河川氾濫など)で、離農を余儀なくされる農家が増えている現状。そういった点からも、農業分野におけるドローン参入が、農業の活性化につながることが期待されています。

大手企業が続々着手「物流」

ドローンの物流(緊急時医薬品・宅配サービス等)は、複数の大手企業が将来性があるとして、国内外で実験的にとりいれています。

交通渋滞をものともせず、災害時人間が立ち入れない場所へいち早く物資を届けることができるため積極的な開発が期待されていますが、今の日本ではドローンを自由に飛ばせる法律はなく、また落下等の危険性もあるためまだまだ本格的な実用化には時間がかかりそうです。

現在国内では10kg前後の運搬しかできませんが、すでに海外では数百kg規模の運搬が可能なドローンも。開発が早く進んでいる国を参考に、日本も積極的に取り組んでいってほしい分野です。

特に試験飛行を行っている企業が多いのはアメリカ。流通サービス、小売販売、ネット通販などをメーンとする企業が注目しています。

日本では、楽天が「そら楽」というサービスを2016年5月から開始しました。これは完全自立飛行によるオリジナルドローンを使い、ドローンを運行するというもの。

その第1弾プロジェクトとして、千葉県御宿町のゴルフ場でゴルフボールや軽食を届けるサービスの試験飛行が1カ月間限定で行われました。

そして第2弾のプロジェクトでは、東日本大震災後の避難指示区域に指定された南相馬市小高区で、2016年7月の避難指示解除後にドローンによる商品配送サービスが行われました。

このように、各企業が積極的に開発・研究のPRを行っています。

天候・天災も事前に察知「気象観測」

火山

一般財団法人 日本気象協会は、京都大学防災研究所国立研究開発法人 防災科学技術研究所など、各企業とともに共同でドローン実験調査を行っています。

使い方次第でさまざまな検証データが得られるため、風向風速観測、火山調査、ヒートアイランドや大気汚染調査などの実証実験が予定されています。

2018年5月には、国立研究開発法人 防災科学技術研究所、イームズロボティクス株式会社、株式会社イームズラボと共同で、大雨時にドローンが飛行可能か?その可否を判断することを目的として世界最大級の大型降雨実験施設を使い、日本で初めて「大雨ドローン実験」を実施しました。

近年でも火山噴火等急な災害発生により多くの犠牲者が出ています。こういった事態を避けるためにも、ドローンの情報収集能力が期待されています。