弊社でも利用している農業用マルチスペクトルカメラSequoia(セコイア)がこのたびバージョンアップし、Sequoia+(セコイアプラス)となりました。
ここではマルチスペクトルカメラとSequoia+の基本情報と、進化した性能についてご紹介します。
目次
マルチスペクトルカメラとは?
日頃、私たちが使用しているデジタルカメラはRGBカメラといわれています。
RGBカメラは平面データを色や光の強弱をとらえ、人間の視覚に近いイメージで表現します。
一方でマルチスペクトルカメラとは対象のものから反射された光の波長をとらえ、通常人の目では見ることのできない情報を可視化させることができます。
Parrot社のSequoia+は農業分野用に設計された4波長のマルチスペクトルカメラですが、他では製造ラインの異物検出や品質検査等、さまざまな産業分野で活躍しています。
Sequoia+(セコイアプラス)になってかわったことは?
バージョンアップして大きく変わったのが、Pix4Dソフトウエアを使用する際には反射板を必要とせずに絶対反射率を提供できるようになったことです。
これは商用マルチスペクトルカメラでは初です。
特徴1「正確なカメラ機能」
一回のシャッター操作で4波長のカメラとRGBカメラのシャッターを切ることができ、正確な画像の取得が可能です。
WiFiとPTP、USBに対応し素早いアクセスが可能。
内部ストレージは10フライト分(64GB)の録画容量を確保しています。
レンズプロテクターは耐久性素材を使用。
ドローン非依存機能を持ち、カメラ重量は72g。
コンパクトかつ軽量で小型ドローンの搭載に最適です。
特徴2「日光センサーと自己キャリブレーション機能」
Sequioa+は付属として日光センサーがついています。
本体で使用しているものと同じフィルターを用いた4つのスペクトラルセンサーで、その名の通り日光の状態をログに残す機能を持っています。
さらに自動でカメラ出力の自動キャリブレーション(基準調整)を行うことが可能です。
ドローンの位置を把握する「GPS」とドローンの傾きを観測する慣性計測装置「IMU」を備え、高精度で最適なマッピングも可能です。
追加ストレージとしてSDカードに対応。
重量は35gと本体の半分ほどです。
特徴3「あらゆるドローンに対応した小型カメラ」
Sequoia+は回転翼、固定翼どちらのドローンにも簡単に接続できます。
ドローン上のmicro-USBから電力供給できるのでバッテリーは不要。
さらに日光センサーも柔軟に位置の調整が可能なので、Sequoia+が一台あれば農業的用途に応じて取り付け機体をかえて作業が可能です。
参考)農地に合わせた、ドローンの性能の違い
固定翼:広域タイプ(地域全体、広範囲向き)
- 飛行高度 70m~152m
- 飛行時間 長時間
- 風圧抵抗 高い
回転翼:狭域タイプ(特定範囲、局地的向き)
- 飛行高度 9m~152m
- 飛行時間 短時間
- 風圧抵抗 低い
Sequoia+活用例
- 植生指数を使用し、作物の栄養不足状態を可視化
- 作物の生育状況、病害の広がり、ストレス、治療の効果をチェック
- 播種後の進捗状況の確認
- 水分補給が必要な場所の特定
- 肥料散布方法を最適化して生産性を向上
- 灌漑の状況、浸食しやすいなどの分析
主なスペック
製品名 | Sequioia+ |
---|---|
本体 | |
バンド数 | 4バンド+RGB |
スペクトル特性 | 緑、赤、レッドエッジ、近赤外線、RGB(可視光) |
サイズ | 59×41×28㎜ |
重量 | 72g |
データ保存 | 64GB内部ストレージ |
光センサー | 対応 |
ATLASクラウドサービス | 使用可能 |
USB | 対応 |
IMU | 対応 |
日光センサー | |
サイズ | 47×39.6×18.5㎜ |
重量 | 35g |
GPS | 対応 |
SDカード | 対応 |
IMU | 対応 |
磁器計 | 対応 |
カメラ部分 | |
RGBセンサー | ・焦点距離 4.9mm ・イメージ解像度 4608×3456 ・イメージサイズ 6.2mm×4.6mm |
マルチスペクトルセンサー | ・焦点距離 4.0mm ・イメージ解像度 1280×960 ・イメージサイズ 4.8mm×3.6mm |
生育の見える化でスマート農業の時代へ
近年の農業分野は、後継者不足や若者の農業離れが深刻で苦しい現状にあります。
そんな中ドローンやマルチスペクトルカメラを使ったリモートセンシングは、次世代の農業に欠かせない時代となることでしょう。
弊社でも宮城県を中心に、積極的に生育調査などの実証実験を行っています。
今後これらの解析結果等も随時紹介いたしますのでぜひご期待ください。